今心CHILD MUSIC FESTIVAL 2022

EUCADEMIX(本田ゆか)

EUCADEMIX(ユカデミックス)はチボマット創始者の一人、本田ゆかのエレクトロニクスプロジェクトの一人ユニットの名前である。2016年にチボマットの第二次解散後、オペラ制作などをマルチメディアで創作していた本田は2020年コロナでのロックダウンを転機としてニューヨーク州のアップステートといわれる田舎に夫のネルスクラインと引っ越した。大自然に囲まれて土に触れる機会も多くなり、また騒音の全くない世界に大きく影響を受ける。料理に深い関心のあることから当地の野菜のクォリティに感動。ファーマーズマーケットでいろんなスタンドから野菜を買ってみた結果、Star Route Farmという農園の野菜は新鮮なだけではなく有機成分の固有量が違うと感じ、その農園を訪ねるようになる。

Star Route Farmで働いているファーマーは全員元アーティスト、またはシェフ。自分たちの審美感で野菜を作っている。簡便性を全く無視しているため、除草機械などを使うことができない。特に野菜を土に植える前から、土の微生物を大事に育てていることが、以前から微生物に関心の深い本田に強く共鳴した。ファーマーのほとんどはマイノリティ、アジア系、ラテン系、ブラック、クィーアなど。自分達で選んだファミリーで運営している。2020年にロックダウンでこのファームから野菜を購入していた高級レストランがたくさん閉まってしまった。それからは募金で資金を集め、作った野菜はチャイナタウン、ブルックリンベッドスタイ、ブロンクスなどで食べ物に困っている人たちに無料配布するという活動をしている。Star Route Farmでのファーマー達の出会いは本田の心を大きく動かした。そしてStar Route Farmのディレクター、アマンダウォングは本田の音楽のファンであったという偶然もあり、運命的なものも感じた。

ある日、Star Route Farmの支援者でエレクトロミュージックの楽器、MONOMEを作っているカップルが同じ地元に住んでいることを発見し、直感でMONOMEを購入した。そしてまさにその日からEUCADEMIXとしての新しい音の世界が生まれた。本田はその音楽をFarm Psychedeliaと名付けた。ジャンル的にいうとアンビエント。本田はSensory Musicと呼んでいる。菌根がメッセージを伝達するときに言葉を使わないで(脳を通さないで)感情だけを心の言語で伝えているのかもしれない。そういう音を作りたいと思っているそうだ。